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才能に障害はない

 「才能に障害はない」を合言葉に、障害者アーティストの所得支援活動を続けてきたアートビリティも、今年で20年目を迎えます。その間に、さまざまなタイプの作家と出会い、さまざまな作品に出会ってきました。
 アートビリティの目的は、作品をメディアに使用してもらうことにあります。結果的に、アートビリティが選ぶ作品はメディアで通用する作品のみとなるわけです。プロとしてメディアで活躍できるか否かが、アートビリティ登録作家には問われるのです。
 「才能に障害はない」とは、そういうことです。

 一方で、障害のある人たちにとっての創作活動、絵を描いて自分を表現するという行為は特別なものがあると思います。自分の表現したい思いを形にする、やむにやまれず内なるエネルギーを放出する、描かずにはいられない、創作することで気持ちが安定し、それが生き甲斐へとつながる・・・などなど。障害者アーティストたちにとって、絵を描く時間は生活の中でたいへん重要な部分を埋めているのだと思います。

絵を描く人の写真
(本文とは関係ありません)

 アートビリティ登録作家も例外ではありません。
彼らの創作活動は、結果的に所得へと結びついているかもしれませんが、創作の原点は自分の感じたものを形にしたいという、表現者としてのやむにやまれぬ思いです。

 たとえば・・・ 熱狂的なファンもいる、ある作家さんなどは、カレンダーやホームページに掲載された作品を見てファンレターが事務局に届くほどの人気ぶりです。
 また、厳しいことで知られるアートビリティの審査員でさえ、一目も二目も置き、新作が届くのを楽しみにされている作家さんもいます。
新作が発表されるやいなや、すぐにメディアに使用される人気作家も何人かいます。
 彼らはまさに「才能に障害はない」というアートビリティのコンセプトにピタリとはまった作家といえるでしょう。
 彼らは、アートビリティの登録作家のほとんどがそうであるように、メディアを意識して作品を描くことが多いと思います。けれども彼らの創作意欲を支えているのはそれだけではありません。
 事故や病気で入院し、長い闘病生活やリハビリをおくることになっても彼らの中からは絵を描くことの欲求はなくなりませんでした。むしろ、だからこそ「やむにやまれず」表現したい、描きたいという欲求が心の底から湧きあがってきたといいます。
 それを思うとき、アートビリティ登録作家にとっての作品使用料というものは、結果的についてきたものであることを実感します。使用料が作家の自立した生活を支え、助けになっているであろうことはまぎれもない事実ですが、それ以上に絵を描くという行為そのものが、障害者アーティストにとっては心の支えとなっているのです。

車椅子の女性の写真
(本文とは関係ありません)
  その心の支えである創作活動をどのようにサポートしていくか。
 クライアントへの営業活動とともに、アートビリティに求められるスキルではないかと思います。

 実際に、事務局と作家との間は、信頼関係なくしては成り立ちません。作家がいい作品を生み出してくれるからこそ、アートビリティの事業が成り立つのです。

 作家が気持ち良く創作活動ができるように、企業への営業やプロモーションを事務局が引き受けることはもちろんですが、それと同時に作家とのコミュニケーションを大事にすることが事務局には求められます。そして、作家とのコミュニケーションで一番大事なことは、作家の創作意欲をいかに大事にし、尊重することではないかと思います。

 審査会という場で、メディアに使用できるかできないかを問い、作品をチョイスすることが事業を運営していく上で欠かすことのできないアートビリティであるからこそ、登録できなかった作品に対してどのような評価をするかが問われているのだと思います。
 メディアで使用されるされないを超えた、作家の創作活動への理解と共感。その思いは常に心のどこかで持っていなければならないと思うのです。それが作家との信頼関係を築く上で最も大切なスタンスであると考えています。

 「ステップ・アート・ライブラリー」に期待することは、作家の創作活動そのものを応援できるということです。さまざまな思いで描かれた作品のひとつひとつに、作家のやむにやまれず表現した衝動や気持ちを感じて、純粋に楽しみたいと思います。
その楽しさの中から次なるステップが作家にもアートビリティ事務局にもあればいいと思っています。


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